かわいいサンタクロースやトナカイ、クリスマスツリーの切り紙細工。
あたたかみのあるこの細工、じつはエポックノートの余り紙から生まれたものです。
秋田精巧堂では、さまざまなサイズ・紙質のエポックノートを製造・販売しています。
なかでも表紙のバリエーションは豊富で、色や質感の違いによって70種類以上のラインナップがあります。
表紙に使用する用紙は、四六判などの大きなサイズで仕入れたものを、大判や普通判といった規格サイズに断裁して使います。
その工程で、どうしても規格に収まらない余りの部分が出てしまいます。
サイズはおおよそB5判ほど。決して小さくはありません。
とくにシュタイナー学校からの注文が重なる時期には、この余り紙が大量に発生します。
以前は、この部分をそのまま捨てていました。
しかし、ある日ふと「この紙、何かに使えないだろうか」と思ったのです。
毎日見慣れている私たちにとっては“捨てる部分”でも、これだけの大きさがあれば、別の使い道があるのではないか。
そう考えるようになりました。
とはいえ、すぐに良い活用方法が思いついたわけではありません。
そこで試しに、地域のバザーなどで余り紙をグラム単位で量り売りしてみることにしました。
実際に販売してみると、用紙を手に取った方からさまざまな反応が返ってきました。
なかでも印象的だったのが、幼稚園などで子どもと接する保育士の方の声です。
「この紙を使って、いろいろな工作ができそうですね!」
そんなアイデアとともに、実際に切り紙細工を作ってくださいました。
このサンタやトナカイ、クリスマスツリーの作品は、その方が作られたものです。

私たちはどうしても、印刷や製本といった“紙の使い方”に目が向きがちです。
けれど、まったく異なる立場や仕事の方の視点からは、私たちでは思いつかないような新しい使い道が生まれます。
余り紙から生まれた切り紙細工。
これからも、紙の可能性を広げるきっかけを大切にしていきたいと思います。

Zurück zu Nachrichten